変わってしまった友人の事
高校時代の友人が3人目の子供を産んだらしい。
前に会ったのは、確か、10年以上前になる。(え、もうそんなに経ったの。。)
私はまだ独身。彼女は遠方に引っ越していたためあまり会えなかったので、その時はじめて子供を見せてもらった。
友人に似た、可愛らしい女の子。
子供連れでも入りやすそうなカフェを選び、他愛のない話をしていると、昔の学生時代に戻ったような感じの中に多少の違和感が。
まあ、彼女は母親になったのだし、変わってないほうがおかしい。
カフェで席についた途端、テーブルに置いてあったガムシロップとミルクとおしぼりを全部つかみ、自分のバッグに押し込んだのはきっと目の錯覚に違いない。
彼女の実家にはよく遊びに行っていて、リビングにピアノがあり庭にはバラが咲き乱れた大きな家が当時はとてもうらやましかったのを覚えてる。
なので彼女をいつまでもお嬢様だと勝手に思っていた。
頼んでいたコーヒーが来た時に、ウエイトレスがテーブルにミルクもおしぼりもない事に気づき、慌てて補充しにきた。
彼女はおしぼり一枚を私によこし、それ以外のミルクもおしぼりもバッグにつっこみ、何事もないかのように話し続けている。
なんだろう。突っ込んだほうが良いんだろうか。。
高校時代なら、すかさず突っ込んでいたであろう事が、今はなぜか出来ない。
しばらくおとなしく座っていた子供が、つまらなくなったのか席を離れてウロウロし始めた。
「え、ほっといて大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫。戻ってくるから」
そういう問題なのかと思っていると、子供がウエイトレスにぶつかったらしく、危ないからお店で遊んじゃダメよーとか聞こえてくる。
「ほら戻ってきた。ちょっとほっといたって、死なないもんよ」
死ななければいいのか。。。?
確かに、カフェで死に至る確率は非常に低そうだ。テロでもない限り。
明治屋 みかん 435g >>みかん,缶詰 |
席に戻ってきた子供の飽きが頂点に達してきていたので、友人は子供のためにアイスクリームを頼んだ。
アイスクリームには缶詰のみかんが乗っていた。
子供は嬉しさのあまりスプーンをアイスにおもいっきり突っ込んだため、アイスがガラス容器の中で滑って乗っていたみかんが床に落ちた。
「あーもう」
そう言うと友人は、床からみかんを拾い、そのまま、子供の口の中に突っ込んだのだ。
土足の、喫茶店の床に落ちた、みかんの粒を、である。
テーブルの上なら、まだわかる。
私も家でならテーブルに落ちたものは高確率で拾って食べる。(外じゃやらないけど笑)
土とか砂とか付いちゃうんじゃないの。。?
私の心配をよそに、彼女はそのまま空気洗浄機について熱く語り続けている。
いや、空気洗浄してる場合じゃなくね。。?
空気より気にしたほうがいい事あるんじゃね。。?
という疑問を抱きつつ、また会おうね、と曖昧な約束をして別れた。
その後、一回も会っていない。
高校時代に、メイクに興味を持った私のファンデーションのパフが、洗ってなくて汚いと言って笑っていた彼女。
そのおかげで、パフは洗えるんだと気づいた。
今度は私が彼女の過ちに気づかせてあげる番だったのかもしれない。
でも、床に落ちたみかんがどれだけ子供に悪いのかなんて、私にはわからない。
もしかしたら子供に免疫をつけるためにわざと、心を鬼にしてやっているのかもしれない。
いや、普通に汚いよなぁ。。
自分にも子供が生まれた今、彼女を理解できる様になるかと思ったけど未だに理解できないでいる。